2011年12月13日(火)

この冬に東京都現代美術館で開催されている「建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの“感じ”」展。建築家ユニットSANAAの西沢立衛氏と妹島和世氏が共同企画者を務め、現代アートと建築によるこれからの未来や可能性を、モデルや写真と共に提示する話題の建築・美術展です。
本展覧会には、今年の秋、エストニア共和国の首都タリン市で行われた「都市空間インスタレーションフェスティバル『LIFT11』」に参加した建築家・近藤哲雄氏の作品「A Path in the Forest」の模型と写真も展示されています。
作品を手掛けた近藤哲雄氏は、2010年のヴェネツィアビエンナーレ国際建築展でのプロジェクトにおいて、室内に人工の雲を浮かべた「Cloudscapes」という作品でも知られています。スロープを移動することで、室内に居ながら異なる空気の層や湿度の感触、距離感を体感できる非日常な空間が注目を集めました。今後の活動にも期待が寄せられている気鋭の建築家です。
近藤氏が参加した『LIFT11』フェスティバルは、今年の欧州文化首都の一つ、タリン2011(エストニア)の公式プログラムとして開催されたもの。日常の都市空間の中に美術作品や建築作品を展示し、その場所への新たなアプローチを提示することで、地元の人々が見なれた景観に対して再考や新たな発見をしてもらいたいという願いが込められたプロジェクトです。今回、彼が手掛けたインスタレーションは地元の人々の間でも大きな反響があり、今年の欧州文化首都プログラムの中でも特にすばらしいものの一つ、と絶賛を受けました。
会場となったカトリオルグ公園は、タリン市内中心部にある宮殿の周りに位置し、樹齢三百年を超える木々と美しい緑が広がる場所です。近藤氏の作品は2011年9月24日から10月22日にわたって公開され、木々のあいだを縫い合わせるような白い小径とそこから見える風景に、多くの人が魅了されました。ユニークな視点と美しいフォルムが魅力的な本作品は、地元紙やインターネットでも多数取り上げられました。
(写真右:作品について伝えるエストニア地元紙)
インスタレーションオープニング当日は多くのギャラリーが見守る中、
近藤氏と榊原第19回EU・ジャパンフェスト実行委員長によるテープカットが行われ、
プロジェクトの完成を祝いました。
近藤哲雄氏(右)と、榊原実行委員長ご夫妻
作品のスロープに柱は一本もなく、木々に頼りながら一つの道が空中に浮かび、一つの作品が成り立っています。人々が歩く白い人工の小径と、それを支える木々。白い曲線と緑の対比が美しく、また木を切ることなく森の姿を活かしながら違った視点を提示する本作品には、調和や共存といったテーマも感じられるようです。
スロープは曲線を描きながら木々のあいだを通り抜けます。
展示期間終盤には木々が紅葉し、また違った表情を見る事ができました。
東京都現代美術館での展示は、2012年1月15日まで開催されています。
展示されている「A Path in the Forest」の作品模型を見ながら、もし、いつも通り過ぎている近所の公園や大通りにこの作品があったら、そこからどんな景色が見えるだろう?と考えを巡らせるだけでも、普段の景色を違った視点から見ることができそうです。
近藤氏の今後の益々のご活躍を、お祈りしています!
【展覧会情報】建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの“感じ”
会 期:2011年10月29日(土)‐2012年1月15日(日)
会 場:東京都現代美術館
都市空間インスタレーションフェスティバル「LIFT11」建築家・近藤哲雄氏参加
◎プログラムページはこちら:http://eu-japanfest.org/n-program/2011/09/lift11-1.html
事務局 佐伯