作品について語るマルケリンク氏
当委員会の写真プロジェクト「日本に向けられたヨーロッパ人の眼・ジャパントゥデイvol.10」(2008年) において、原爆をテーマに長崎県を撮影したオランダ人写真家カリー・マルケリンク氏。
彼は、現代の風景からその地の歴史や記憶を見つめる作品を多数発表しています。2010年には、世界の「負の記憶を持つ風景」を10年余りかけて撮影したシリーズ「MEMORY TRACES」の写真集を発行しました。今回の写真展とトークセッションでは「日本に向けられたヨーロッパ人の眼」と「MEMORY TRACES」から長崎、サラエボ、ソンミ、チェルノブイリなどを撮影した作品を紹介し、「記憶」「風景」「写真」についてマルケリンク氏自身が語りました。対談相手の山本正興氏は、長崎の歴史を掘り起こす番組を制作されているドキュメンタリー映像作家。「記憶」「歴史」という共通の視点から、非常に深みのある対談となりました。マルケリンク氏のトークは東京でも2会場で開催されました。奇しくも3月の大震災と原発事故の直後の開催となり、参加した方々は皆、熱心に耳を傾けていました。
1951年メダン(インドネシア)生まれ、アムステルダム在住。
絵画を学び、映画の制作を手がけた後、ヘリット・リートフェルト・アカデミー(アムステルダム)で写真を学ぶ。1991年にマリア・オーストリア賞を受賞。
マルケリンクは、戦後の住宅、高速道路や干拓地の都市計画などをテーマに、オランダにおける時代の変化を的確にとらえる作品で高い評価を受けている。マスメディアが陥りがちなステレオタイプな解釈や安易なヒューマニズムを排除し、社会の動きがわたしたちの視覚にもたらす副作用へと目を向ける。また、写真家テオ・バールトとの共同制作、社会学者によるテキストや一般家庭のアルバムの写真を使用するなど、既存の形式にとらわれないユニークな手法を取り入れ、常に新しい表現に挑戦している。1997年から2001年、チェルノブイリ、サラエボ、長崎、広島など、負の歴史を背負う場所を訪ね歩き、<Memory Traces>を制作。2009年に同プロジェクト写真集を発行。
パブリックコレクションに、国立美術館(アムステルダム)、市立美術館(アムステルダム)、Wereld Museum(ロッテルダム)などがある。
http://www.carymarkerink.nl/