コラム
Column[#KeepgoingTOGETHER ]第19弾 光影 Light & Shadow Concert 配信!
1. オンライン配信を実施しての所感
舞台公演は基本的に一定時間観客が見続けてくれることを想定しているが、オンライン配信は公演とは鑑賞の構造が違い、どちらかというと美術作品/インスタレーションなどの展示に近い。それを踏まえて、最初からオンライン配信のために作品を作る場合には、その構造への配慮が当然必要になるだろうが、過去作のアーカイヴにおいても、オンラインで見てもらうという事を考えなければいけないだろう。
また、この時期のように、多くの作品を自由に選択できるという環境も、「あるひとつの作品」を選択的に鑑賞する、舞台や「映画館で観る映画」というよりは、多くの作品が並ぶ美術館での作品鑑賞に近いように思う。
2. 通常の配信やアーカイブ作成と変えた点、工夫した点
通常、ダンス的な要素の強いアートパフォーマンスに関わることが多いのだが、今回はコンサート形式の公演のアーカイブを選び、作成・配信した。
コンサートは、ストーリーのあるタイムラインより、視聴に融通がきく。また、ノンリニアな鑑賞にも、比較的柔軟に対応できる。例えば、実際の会議で誰かが発言中に、いきなり席を立ってコーヒーを注ぎに行くことはないと思うが、リモート会議では、ためらいもなくそういう行為が起こりうる。webでの鑑賞は、常にそういう状況下にあると仮定した方がいいと思う。それもあって、音声の品質は最大限に高められるように、公演時の音響/効果担当ともやり取りをして、データを作成した。画像は一点への視覚的な集中を強いるが、音響は空間に満ちる。
3. 今後のご活動におけるオンライン配信の活用や展開について
オンライン配信は、観客が集いパフォーマとの対面で繰り広げられるライブの代わりにはならないが、リモート/テレワークならではの可能性はあると思う。例えばすでにいくつもの先行事例があるだろうが、世界各地をつなげて同時に行われるイベント。そして、その際の時差を恣意的に取り込む、何らかの構造の発明など。
また、この機会にアーカイブ化が進むことは、世界的な情報のネットワーク化の上に、有用なレイヤーが補強される好機だとも考えられる。その意味では、このような支援を足がかりにして、無期限に公開される良質なデータベースが形成されることを望む。
<配信プログラム>
光影 Light & Shadow Concert
- 実施日:2020年5月8日(金)から無期限
- 内容:
2017年に開催された北アルプス国際芸術祭のイベントプログラムの一環として、シンガー&ボイスアーティストのおおたか静流と、主に舞台芸術の分野で照明作家として活躍する藤本隆行(Kinsei R&D)のコラボレーションとして開催された、一夜だけのコンサートの記録映像。 - 告知方法、使用した広報ツール:
Facebook: https://www.facebook.com/KinseiRD
https://www.facebook.com/takayuki.fujimoto.923/
https://www.facebook.com/profile.php?id=100036255038140 - 使用した配信ツール:
vimeo: Kansei R&Dチャンネル https://vimeo.com/416224538
Youtube: Sizzle Ohtakaチャンネル https://youtu.be/4Krtyitezjs - 視聴者の反応を得るために工夫した点:
ハッシュタグ #KeepgoingTOGETHER #おおたか静流 #SizzleOhtaka #KinseiRDを使用しています。また、Facebook等でコメントが付いた時には、常に返事をするようにしています。 - 視聴者数:5月8日(金)19時公開から12日(火)11時までの視聴回数は、Youtubeで213回、vimeoで195回の合計408回。