友の支えあっての私達の努力

グラジナ・ポゴルツェルスカ|ポーランド日本親善友好財団「波」理事長

スウォドヴァ島を舞台に開かれる日本祭り波アイランドは、ポーランド日本親善友好財団「波」が主催する年間で最も重要なイベントで、2014年より開催されています。

2023年には、新たなフェスティバル方式を展開し、2024年も同様に実施しました。これは各時間同じ要素の演目で構成された、5時間のステージプログラムです。この方式により、参加者に、ステージプログラムの関心のある部分を見逃すことなく、パヴィリオンで行われる多彩なアクティビティにご参加いただくことが可能となりました。

長年にわたり、私達は、ポーランド人ならびにポーランド在住のさまざまな国籍の人々に日本文化を披露して参りました。好奇心を掻き立て、障壁を取り除いたことで、私達はこのアプローチの効果を実感しています。波アイランドは、ポーランドのフェスティバルを彷彿とさせるとともに、日本のお祭りにも似ています。楽しさや知識が共有できる本方式により、誰もが体験でき、誰にでも理解しやすいお祭りとなっています。ここは誰もが楽しい時間を過ごせる場所なのです。

All yosakoi dance groups © Wojciech Rudnicki

波アイランドは、恒例のパレードで開幕を迎えました。パレードは、正調よさこい鳴子踊りを演じるよさこい踊りチームが先導を務めました。ポーランドの桜舞ポーランド、ハンガリーの雨上がりよさこい、エストニアの夕鈴よさこい、スウェーデンの白夜よさこいという、出身の異なる4つチームを代表する30名の踊り子が出場しました。パレード終了後には、全チームがステージで単独、またときによっては複数のグループが合同で演舞を披露しました。波アイランドの一環で、現在『波よさ』と呼ばれるこのプログラムは、日本文化がさまざまな国の人々を結ぶ素晴らしい一例といえます。おそらくポーランド初の阿波おどりの連である『波連』が、踊りのチームのラインナップの締めくくりを飾りました。

先にも述べましたとおり、昨年より波アイランドのステージプログラムは、区分に分かれています。各区分の所要時間は1時間で、これには演舞が一演目、響け合唱団による歌が一曲、武道の演武が一演目、そして小人落語が語る一席が盛り込まれています。こうすることにより、波アイランドがお届けする魅力を誰もがわずか1時間で味わうことができ、またその一方で、歌や物語、踊り、武道の内容が各時間異なることから、飽きることなく5時間まるまる鑑賞することも可能です。とはいえ、ステージプログラムは、波アイランドのごく一部に過ぎません。ステージでの上演を鑑賞する人々もいれば、パヴィリオンで提供されるさまざまなアクティビティへの参加で忙しい他の来場者もいました。当財団では、過去数年にわたり、さまざまな国々への日本語を教える日本人ボランティアの派遣を専門とするICEA(アイセア)と協働しています。現在、このコラボレーションの一環で、越智真紀氏と神田裕子氏が波財団に滞在しています。また彼女達は、波アイランドにも参加しました。越智氏は、長年の波ボランティアであるウォザ和美氏とともに、書道パヴィリオンで、好きな漢字や人々の名前を片仮名で書にしたためました。神田氏と、日本語学を卒業し当財団で日本語教師を務めるモニカ・ピエトラシュ氏は、言語とポップカルチャーのパヴィリオンで、一種のかるた遊びを担当しました。また、恒例となっている日本の伝統衣装のパヴィリオンでは、人々が振り袖や黒留袖などの礼装を鑑賞するだけでなく、浴衣を着用することもできました。このほか、ラファウ・ヴォジツキ氏が代表を務める、ポーランド盆栽協会のパヴィリオンもありました。

波アイランドは、武道なしには完結しません。ステージでの演武に加えて、武道をご紹介する専用のエリアも設けられ、来場者は、鑑賞するのみならず、ワークショップに参加することもできました。今年の武道は、私達の仲間である不動心合気道場と人格完成空手クラブ、そしてもちろん、波財団の一部である居合道の錬心舘と剣道の龍心会が出場しました。

Iaido show © Maciej Fronczak

昨年同様、来場者のなかには、馴染みのある顔ぶれが見受けられました。しかし、本フェスティバルが提供する多数のアトラクションに参加したゲスト達だけが楽しんでいたわけではありませんでした。波アイランドのパヴィリオンや上演の手助けを行うに際して、多大な労力を要することもありますが、ほとんどのアーティストやボランティアが毎年のように再びお越しくださいます。本当に大勢の方々が、新たな開催となる波アイランドに舞い戻り、私達のお祭りで再び楽しんでいる光景を目にすることができ、光栄に思いました。

本フェスティバルのプログラムを企画するにあたり、私達は主に、波財団を取り巻く仲間やクラブで成る幅広いネットワークを頼りにしました。このネットワークは、皆にとっての共有の場として、多数の欧州の国々や日本へと広がりました。昨年は控えめに試行したこの構想ですが、今年は本格的に実施し、その甲斐あって、本フェスティバルは、共通の情熱を分かち合い、その情熱を周囲にも広めたいと考える仲間達の出会いの場となりました。私達のほとんどが、人生の大部分を日本文化や日本の生活様式の持つさまざまな側面への探求に捧げる愛好家に過ぎません。本フェスティバルでのちょっとしたサプライズとなったのが、ヨーロッパを自転車で横断していた私達の友人の友人である日本人カップルの来訪で、スウェーデンからノルウェイ、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコを経てオーストリアへと旅をするという彼らの忍耐力と大胆な取り組みに、観客は感銘を受けました。彼らが楽しそうにフェスティバルを鑑賞する様子を拝見できたことは、何にも代えがたい喜びとなりました。

友の支えあっての私達の取り組み、これこそがスウォドヴァ島を舞台とした波アイランド2024と次回の日本祭り開催に向けて掲げるモットーなのです。