コラム
Columnとても特別な音楽の友情
今年のネオ・フェスティバルでは、EU・ジャパンフェスト日本委員会の協力のもと、日本のアーティストが7月1日と3日に演奏を披露しました。
型破りなクラシック音楽の祭典である、ネオ・フェスティバルは、今年ノヴィ・サドの聴衆に多様なジャンルの8つのコンサートを提供し、フェスティバルの夜には、伝統的なバルカンの聖歌、ウィーン古典派の作曲家、ロマン派の作曲家、現代的なハーモニーや20世紀のスタイルを追求する作曲家の作品が演奏されました。
「音楽という星座の中で」という今年のテーマのもと、世界中から集まったアーティストたちは、楽譜への献身と卓越した演奏の追求によって結ばれながら、さまざまな音楽の軌道を進んでいきました。それは、時空を超えた音楽の旅でもありました。音楽を宇宙の音の一部と考え、音楽と星々を結びつけた古代の思想家たちに倣って、今年のネオ・フェスティバルは地球外から来た音波を体験することを掲げ、6月26日から7月5日までの期間開催されました。ネオ・フェスティバルの主催母体はノヴィ・サド市文化局で、さらにノヴィ・サド文化センター、EU・ジャパンフェスト日本委員会、文化・広報・宗教関係州事務局、そして、セルビア文化省からの後援を受けました。そのほかフェスティバルは、Via inženjering、Put-Invest、CPL、Vojvodinaput、そしてIDEAといった企業からの支援も受けて実施されました。

ネオ・フェスティバルのオープニングコンサートでは、ブラチャ・テオフィロヴィチが、ネボイシャ・ジヴコヴィチ(マリンバ)、ボバン・ビェリッチ(アコーデオン)、マヤ・ラドヴァンリヤ(ギター)をゲストに迎え、彼らの活動30周年を祝いました。また、翌日のコンサートでは、ノヴィ・サド室内管弦楽団、そしてアレクサンダー・シトコヴェツキー(ヴァイオリン)、イレナ・ヨシフォスカ(チェロ)と、NEOアンサンブルIで一緒に演奏したベンヤミン・ツィーガーフォーゲル(ヴァイオリン)、マルティン・モリアーティ(ヴィオラ)、ヨージェフ・ビサク(ヴィオラ)、マルコ・ミレティッチ(チェロ)とともに、バロック・サウンドが奏でる音の軌道を楽しむことができました。市庁舎で演奏された室内楽では特筆すべき二つのコンサートがありました。一つ目は、「指の間のバレエ」という名のミハイロ・ズルコヴィッチとリディヤ・ビズヤクによるピアノデュオコンサート、そしてもうひとつは、オスカル・ヴァルガ(ヴァイオリン)、イシュトヴァン・ヴァルガ(チェロ)、ガーボル・チャログ(ピアノ)によるヴァルガ・トリオのコンサート「ロマン主義の軌道の中で」です。
このフェスティバルの音楽的な理解は、数年にわたってここで日本の若手アーティストの育成に取り組んできたEU・ジャパンフェスト日本委員会との協力を通じて育まれてきました。特に、今年のネオ・フェスティバルでは、日本人音楽家グループが、スペインの作曲家やクラッシック、印象派、ジャズ作曲家の室内楽作品を2度にわたって独創的に演奏し、今年のフェスティバルに大きな足跡を残したのです。
「ビバ・エスパーニャ」と題された最初のコンサートでは、伊藤睦美氏(フルート)、古谷拳一氏(バス―ン)、宇野由樹子氏と毛利文香氏(ヴァイオリン)、犬飼新之助氏(ピアノ)で構成される日本の室内アンサンブルが、デ・フェッラ、アルベニス、サラサーテ、トゥリーナの作品を、また、現代の作曲家タニヤ・レオンの作品を披露しました。この東アジアの音楽家たちは、音楽には国境や言語の壁がないことを証明するような、情熱的で絶妙な選曲で、予定時間を大幅に超過したにもかかわらず、アンコールが鳴りやまないほどの見事な演奏を披露したのでした。そして、フェスティバルでのもうひとつのハイライトは、「クラシックとジャズの出会い」と名付けられた彼らのコンサートで、クラシックの時代から20世紀初頭の魅力的なジャズの解釈まで、幅広い音楽史が披露されました。彼らは異なるジャンルに等しく対峙し、大衆文化への進出をエキサイティングな音の冒険へと変えたのでした。

しかしながら、今年のネオ・フェスティバルでの日本とのコラボレーションは、この2つのコンサートにとどまりませんでした。壮大なネオ・フェスティバルのクロージングでは、日本のアーティストがドナウ交響楽団と共演し、グスターヴ・ホルストの有名な 「惑星」 を演奏したのです。巨匠マキシム・リザノフ氏の指揮によるこの視聴覚体験では、ノヴィ・サドの大聖堂の壁面に惑星の映像が同時に投影され、日本の音楽家はもちろん、ステージや客席でそれを目撃したすべての人々の記憶に長く残り、語り継がれるであろう、印象的なパフォーマンスとなりました。
さらに、日本の音楽家たちは、彼らの芸術活動だけでなく、教育的な取り組みにも貢献してくれました。古谷拳一氏は、イシドール・バジッチ音楽学校でバス―ンのマスタークラスを行い、今年の日本・セルビアのコラボレーションを締めくくりました。ネオ・フェスティバルとEU・ジャパンフェスト日本委員会のコラボレーションは、極めて実り多く成功裡に終わり、今後の継続の可能性が期待されるものとなりました。
今年のネオ・フェスティバルは、クラシック音楽界のスターとともに、未来の世代の音楽家を紹介、音楽史上の重要な作品を思い起こさせるとともに、あまり知られていない作品も紹介し、多くの聴衆を魅了しました。また、室内楽のサウンドは、プロフェッショナルな取り組みとビジョン、提携を通してクラシック音楽の創作における質の高いプレゼンテーションと解釈を達成することができることを大きく実証したのです。