インターアーバン 文化の糸を紡ぐ – 浜松ウィーク in ヴェスプレーム

カタ・ヤヴォル|ハングヴェトゥー プロダクション・プロジェクト・リーダー

『インターアーバン』プロジェクトの浜松ウィークのオーガナイザーとして、私は期待に胸膨らませて旅に出ました。2023年9月から10月にかけての2週間、浜松はハンガリーのヴェスプレームで主役を務める機会に恵まれました。これは、世界の都市間の異文化交流を促進するという私たちの大きな使命のマイルストーンであり、その結果は私たちの期待を大きく上回るものでした。

日本人アーティストとの貴重なパートナーシップ、ハンガリー人ボランティアの熱意あふれる協力、そしてEU・ジャパンフェスト日本委員会の寛大な協賛により、私たちは浜松の豊かな文化遺産をヴェスプレームの人々に知っていただくという特別な栄誉を得ることができました。

『インターアーバン』は、欧州文化首都ヴェスプレームで開催された多面的な文化フェアです。各都市がそれぞれの伝統や歴史的遺産を紹介する場として、世界中から30都市が招待されました。この中で、浜松市は五感を刺激する日本文化体験の場を提供し、ヴェスプレームの人々を魅了しました。

ヴェスプレームの人々に日本の芸術のタペストリーを披露した最初のイベントは、鈴木康広氏のストリート・インスタレーション「メトロノーム」によるオープニング・セレモニーでした。この楽器は、時間の経過とその主観的な知覚について内省を促す能力で知られており、魅惑的な旅の舞台となりました。

オープニング・セレモニーでは、ヴォカール・ヴェスプレーム混声合唱団がハンガリーと日本の歌のハーモニーを披露し、異文化の相乗効果というテーマを力強く響かせました。

さらに、日本の伝統に深く根ざしたエレガントなデザインの風呂敷を使ったワークショップも行われ、浜松市がそのギフトラッピング技術と実用性を披露しました。参加者はこのワークショップを通して、日本伝統のこの側面に親しみ、浜松の文化的アイデンティティの温かさを五感で感じられるような触覚的なつながりを持つことができました。

Furoshiki workshop ©︎ Attila Domjan

料理ワークショップから漂う食欲をそそる香りは、料理愛好家だけでなく、料理初心者も魅了しました。参加者たちは、日本の伝統的な調理法を学び、奥深い日本料理の味わいを堪能しました。

このワークショップは、単なる料理教室ではなく、浜松の豊かな食文化を五感で味わえる貴重な体験となりました。

若木信吾氏の芸術性は、写真展と映画上映を通して鮮やかに表現されました。写真展は、若木の祖父への深い愛情と敬意を込めたものでした。祖父の生涯の様々な側面、家族との親密な瞬間、浜松の町並みや自然の美しさが力強く描写されています。

この写真集は、異なる媒体を通して同様のテーマを探求した映画『星空のワルツ』と深く共鳴していました。上映後には、監督との活発なディスカッションが行われ、記憶、家族、過去、そして人との繋がりといった普遍的なテーマについて、観客は深い洞察を得ることができました。

このような文化体験の中で、ヴェスプレームの人々は日本の伝統的な茶道に招待されました。会場に入るや否や、参加者は息を呑むような美しさに魅了されました。緑茶と抹茶の芳醇な香りが漂い、参加者は静寂と調和に包まれた空間に身を委ねました。茶道は、日本の精神性と美意識を深く洞察し、参加者の心に深く刻み込まれました。

文化プログラムの締めくくりを飾ったのは、国境を越えたお楽しみのクラシック・コンサートでした。 長尾春花、水野海成、清水陽介といった日本のアーティストたちが、メンデルスゾーン室内管弦楽団やリスト・フェレンツ音楽院の教授陣と共演しました。指揮は金井俊文氏。まるで私たちの心のメトロノームが日本のリズムとシンクロしたかのように、音楽の架け橋が両都市を結びつけ、忘れられない感動の瞬間となりました。

Concert of Liszt Ferenc University professors and Haruka Nagao, Yosuke Shimizu and other Japanese students of the university ©︎ Marton Pesthy

イベントそのものだけでなく、ヴェスプレームの人々に与えた影響も、このコラボレーションの成功を如実に反映しています。様々なイベントに400人以上が参加し、4つのイベントは定員に達しました。これは、浜松の文化的貢献に対するヴェスプレーム市民の強い好奇心と深い感謝の気持ちを裏付けるものです。

この2週間は、五感をフルに使って浜松の文化を深く探求する貴重な機会となりました。

海の幸と山の幸が奏でるハーモニーのような日本料理の味覚、浜松城の天守閣の金箔装飾や佐鳴湖周辺の伝統工芸品に見られる精巧な美術品の数々、クラシック音楽の音色に包まれる至福のひととき、シルクのような滑らかさの風呂敷の手触り、そしてお茶の香りに漂う日本の伝統文化の奥深さ。これらの経験は、ヴェスプレームの人々の心に深く刻み込まれることでしょう。

このような文化交流が実現できたのは、EU・ジャパンフェスト日本委員会のご尽力とご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。EU・ジャパンフェスト日本委員会は、都市と文化を繋ぐ架け橋として、深いつながりと相互理解を育む重要な役割を果たしています。

前向きに考えれば、この協力関係の将来は有望であり、大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。 浜松市とヴェスプレーム市での2週間の成功は、更なる交流とパートナーシップ発展への道を開きました。この基盤を活かし、両市と市民同士の関係をさらに深めていきたいと考えております。

この2週間は、文化交流の力と、世界中の都市間の真のつながりの可能性を力強く示しました。それは、私たちの魂を豊かにし、視野を広げ、ヴェスプレムの人々の心に深い印象を残した旅となりました。浜松の文化ショーケースは見事な成功を収め、私たちの文化が織り成す理解と友情のタペストリーに参加できたことを誇りに思います。