コラム
Column[#KeepgoingTOGETHER] Vol. 15 空間現代『象』
1. オンライン配信を実施しての所感
今回ライブ配信した作品『象』は、元々は3月に私たちの活動拠点である京都の「外」というスタジオ兼ライブハウスで初演を開催した作品です。しかしその際は、新型コロナウイルス感染予防対策として定員を制限した中での開催となってしまいました。今回この状況下でできることを探るなかで、オンライン配信での再演という形をとることで、結果的に本来のキャパシティよりも更に多くの観客の方々にご覧いただくことができ、また従来では来場することが難しい関西圏以外の日本各地の方、更には欧州をはじめ海外の方にも届けることができました。私たちの拠点「外」の使い方の新たな可能性も感じられるプロジェクトとなりました。
2. オンライン配信準備で苦労した点・工夫した点
ライブ演奏を配信するにあたって音声の調整に苦労しました。普段のライブでは、演奏する会場内で鳴っている音とお客さんが聴く音が同じであるため、音響を容易に調整できます。しかし配信の場合は、聴衆はマイクで集音している音のみを聞いているので、大音量でバンドの生演奏の音が鳴っている会場内とは音響が大きく異なります。ヘッドホンを使って聴衆の環境に近づけても、会場内の大音量も聴こえてきてしまうので、配信される音のみをリアルタイムで聴きながら調整することが大変困難でした。一度テスト配信で録音してみてその音を聴いて調整するという手段をとりましたが、まだまだ改善の余地があると感じました。また、配信する音声は想定よりもライブの空気感を出しづらく、それを改善するためにエアーマイク(会場全体の音を集音するもの)の比率を大きめにしました。こちらもまだ改善の余地を感じたので善処していきたいと思います。
3. 今後のご活動におけるオンライン配信の活用や展開について
今後は、2017年に初演し、2019年のTPAMなどでも演奏した空間現代の長編楽曲『オルガン』のオンライン生配信での再演や、普段私たちのライブハウス「外」で開催しているようなイベント企画の配信での開催を検討しています。DJイベントの配信も予定しています。当面は、配信を中心とした企画を展開していく予定です。
また、これまでのライブで録音してきたアーカイブ音源をbandcampを利用して配信リリースしていく予定です。
<配信プログラム>
空間現代『象』
- 実施日:2020年5月9日
- 内容:空間現代による60分の長編作『象』公演
- 告知方法、使用した広報ツール:Facebook, Twitter, Instagram, Website
- 使用した配信ツール:YouTube
- 視聴者の反応を得るために工夫した点:YouTubeのコメント機能の使用
- 視聴者数:128人