コラム
Column[#KeepgoingTOGETHER] Vol. 21 『Hedda Gabler』
1. オンライン配信を実施しての所感
事前に思っていた以上の視聴者数があったことは驚きだった。これは自分たちの努力によるものだけではなく、EU・ジャパンフェスト日本委員会の協力があってのことだったと思う。もともと作品のアーカイブ動画については、海外のフェスティバルや劇場向けのプレゼンテーション用、DVDなどの販売用として制作していたが、無料で、ライブストリーミング配信でこれだけの数の視聴者が得られるとは思わなかった。また、具体的な視聴者の反応(コメント欄への記入など)も得られたことは、想定外の出来事で、とても大きな手ごたえを感じた。
2. オンライン配信で得た成果と課題
オンライン配信でも演劇作品について、具体的にきちんと広報活動を行えば、一定数の視聴者が得られることが分かったのは大きな成果だった。今後の劇団の活動の広報手段の一つとして具体的に検討していきたい。ただし、無料のライブストリーミング配信では劇団のマネタイズには直結しないこと、もしアーカイブ映像を見て私たちshelfの活動に興味を持ってくれて、将来じっさいに劇場に足を運んでくれる観客がいるかも知れないとして、そのことの検証は今のままでは難しいことは課題として残ったと思う。
3. 今後のご活動におけるオンライン配信の活用や展開について
今回、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う活動自粛のため、予定していた海外公演が3つ中止・延期になりました。しかし、今回のEU・ジャパンフェスト日本委員会からのオンライン配信についてのご支援を頂いたことをきっかけに、現在予定している海外のアーティストたちとのコラボレーション企画について、あるいは各国の新型コロナウィルスの感染拡大がどのような影響を社会に、特に舞台芸術シーンにどのような影響を及ぼしているか? 自分たちの、ひいてはもっと大きく今後の世界の国際共同制作作品や、海外公演の在り方に、今回の新型コロナウィルスのパンデミックはどのような影響を及ぼすのか。そのようなことをトークイベントとしてライブストリーミング配信する試みを始めようと思い立ちました。既にその第一弾として、シンガポールとマレーシアの演劇人と日本をつないだトークを実施しており、shelfのYouTubeチャンネルでそのアーカイブ映像を公開しています。現在、インドネシアのアーティストとのライブストリーミング配信を調整中です。このような、直接舞台作品を配信するのではないかたちで、舞台芸術の世界、特にその国際化について、寄与できるようなプログラムを今後も継続的に実施していこうと思っています。
<配信プログラム>
『Hedda Gabler』
- 実施日:2020年5月10日(日)24:00~6月3日(水)24:00
- 内容:shelfの過去作品のうち、代表作である「Hedda Gabler」初演時(2016年、TPAMショーケース参加作品)アーカイブ映像のライブストリーミング配信
- 告知方法、使用した広報ツール:
Facebook(shelfアカウント、及び矢野個人アカウント)
Twitter(shelfアカウント、及び矢野個人アカウント)
その他、個人的なメールでのアナウンスなど - 使用した配信ツール:YouTube
- 視聴者の反応を得るために工夫した点:
繰り返し、定期的に宣伝のためのコピーを変えながら各種SNSで広報
矢野の関係している大学の授業でアナウンス
YouTubeのコメント機能を利用 - 視聴者数:
総視聴者数 111名
インプレッション数 208回
インプレッションのクリック率 8.2%
新規チャンネル登録者数 1名