コラム
Column[#KeepgoingTOGETHER] Vol. 43 / 英語落語『藪入り』配信
オンライン配信を実施しての所感
元々、その場の空気感も含めて味わう落語は、生でこそ成立し、伝わる芸であるという思いが強く、100%でないものを伝えても意味がないと、オンラインでの配信には抵抗がありました。ただ、現状、集客をしての生の高座を届けることが困難になる中、「家で楽しめるエンタメを届けよう」という思いと、「少しでも多くの方に落語という雲について知ってもらおう」という思いで、配信することを決断しました。結果として、「Yabu-iri」の場合、配信一週間時点で210視聴と、生での客層よりも幅広い層に届けることが出来ていると思っています。知ってもらうことで、今後生の会により多くの方に足を運んでいただけるきっかけにもなると思います。
オンライン配信準備で苦労した点・工夫した点
落語にこれまで触れたことがない方々、落語に興味がない方々、落語に対してマイナスのイメージを持っている方々に、どうすれば届けることが出来るかということを考えました。一番重視したのか演目の選択でした。それほど長くなく(26分)、テーマが万国共通かつわかりやすい、そして「笑えて」「感動する」もの、という観点から「薮入り」に決めました。
これまでYouTube上に存在していた落語動画は、シンプルなサムネイルと紹介文のものが多かったのですか、少し目を引くようなサムネイルのデザインにし、そこに簡単なあらすじも加えることにより、「落語」や「立川志の春」を知らない方にも入ってきてもらえるように工夫をしました。
今後の活動におけるオンライン配信の活用や展開について
以前より、断然ポジティブに捉えるようになりました。一つには若い層に届けるためには必要不可欠な方法だと思います。オンラインを通して知ってもらうということは、生の高座に触れてもらう機会を増やすことで、本当の落語体験に繋がるのだと思うようになりました。
今後は、少なくともしばらくの間、以前のように国内外を移動しながら現地で公演を行うということは難しくなると思われます。インバウンドというのも、以前ほどは期待が出来ないかもしれません。そのような中、オンライン配信を通じて世界に伝わる日本のコンテンツを発信していくというのは、これまで以上に重要だと思います。伝統芸能の演者自身がダイレクトに英語で交流出来るというのはそれほどないことだと思うので、双方向のやり取りを含めたライブ配信も織り交ぜながら、生の高座により近い空気盛や一体盛で届ける方法を探りながら、配信を続けていくつもりです。
<プログラム>
英語落語『藪入り』配信
- 実施日:2020年5月29日
- 内容(あらすじ):
「藪入り」というのは、奉公に出た子供たちにとって、一年に二日間だけ許された休日のこと。ただ最初の二年間はその二日さえ許されなかったため、三年経ってようやく実家に煽ることが出来るようになる日が初めての薮入り。その日を前に、息子が帰ってきたらあれをやろう、これをやろうと話し込む両親、親心というのは今も昔も変わりはない。 - 告知方法、使用した広報ツール:Facebook、Twitter
- 使用した配信ツール:YouTube
- 視聴者の反応を得るために工夫した点:
ハッシュタグを日本語、英語両方で入れ、動画のサムネイルに簡単なあらすじを入れ、落語に緑のない初心者の方にもどんな噺かわかりやすくした。 - 視聴回数:210(6/5時点)