コラム
Column日本の哲学に触れるブルガリアの美しきシンボル
ブルガリアの最も美しいシンボルのひとつであるバラは、30名のブルガリア人デザイナーと、ファッションを専攻する日本人学生のインスピレーションとなり、日本で開かれたファッションショーのためにファッションおよびジュエリーの傑作を生み出しただけに留まりませんでした。バラが視覚的リンクとして作用し、日本の哲学に触れ、デザイナー達の想像力を解き放ったのです。
デザインを通じて日本とブルガリアの絆を深め、両国の伝統と現代の文化を絡み合わせることが、2019年にブルガリアと日本のデザイナーおよびアーティストによる最初の合同プロジェクト「+7 HOURS」を実施して以来掲げている私達の目標です。その国際的成功が、異なる文化的を背景とするクリエイター達がいかにコラボレーションを通じて互いを高め合い、革新的な成果を達成できるかを立証しています。
駐日ブルガリア共和国大使館と大阪の羽衣国際大学とのパートナーシップによる私達の新プロジェクト「バラはバラ、バラはバラ、バラはバラ」は、2023年5月12日に東京の駐日ブルガリア大使公邸で開催された第一回ブルガリアンアート&ファッションデイズの一環で披露され、日本人ならびに国際的なオーディエンスを魅了しました。ブルガリア人ファッションデザイナーのゲオルギ・フロロフ、アネリア・アントヴァ、マヤ・カラネシェワ、ミレーナ・ナチェワ、スラヴィナ・ペトロワ、ユリアナ・ヤンコワ、ポリーナ・ソティロワ、ディリヤーナ・チョラコワ、インナ・ガブロフスカと、ファッションレーベルHam&Eggs、Prototype 23、nelmit、 YOD by ヤナ・ドヴォレツカ、ディンカ・カサボバDK、ディリアナ・イヴァノヴァ(YEDA)、EUGENIO、Vintage Sofia、M.Point、OXN、才能溢れる卒業間近の新ブルガリア大学の学生、エリ・ネンコフスカ、ミリツァ・ミラノヴァ、クリスティーナ・リュべノヴァ、エドジェ・ダーヴィッシュ、 ニコル・ハゲドーンらが、本イベントのために特別にデザイナーズファッションを展開しました。ジュエリーは、ヴェリスラヴァ・ボジノヴァ、ボリャナ・ダンコヴァ、カーチャ・ラザロヴァ、カーチャ・ラザロヴァ、KENNAジュエリーによる作品でした。女優イルメナ・チチコヴァ氏が、日本人、ブルガリア人をはじめとした国際色豊かなモデルとともにファッションショーでパレードを披露し、ブルガリアの作家達による作品は、外交界および政界のトップの観客の方々に大変喜ばれました。来賓には、外務省の代表者、EU・ジャパンフェスト日本委員会事務局長古木氏のほか、私達の新パートナーである大阪の羽衣国際大学の中川恵学長と光松佐和子教授、そして日本人ゲストデザイナー深見凛さんとそのご家族が出席しました。日本人学生の深見さんにとって、プロのファッションショーへの参加は、かけがえのない経験となり、それがファッションの世界へと踏み出す第一歩となりました。
ブルガリアを代表するシンボルであるバラは、デザイナー達によって新鮮かつ現代的な解釈が与えられました。優美で幾重にも重なるその形状から着想を得た人もいれば、赤、ピンク、白の色彩や繊細な花びらや葉あるいは棘などを、プリントやフォルム、シルエットをデザインする上での出発点に選んだ人もいました。そのほかにも、開花に始まり色褪せるまでのバラのさまざまな状態に注目し、儚さに内在する美を顕わにするという哲学的アプローチをとるデザイナーもいました。この消えゆく美こそが、あらゆる次元、奥深さや過去や、外観を超えた内的要素において、バラを、美しいものを捉える日本の美学へとよりいっそう近づけているのです。
翌日の5月13日、東京のパシュタート・ギャラリーで開催されたポップアップストアの会期中、ファッションショーで発表されたデザイナー衣装とジュエリーが鑑賞および試着可能となり、これらのデザイナーは、日本で初めての顧客に出会いました。
本プロジェクトのプログラムにおいて重要な一要素となったのが、大阪の羽衣国際大学での教育プロジェクトで、私達のデザインプラットフォームIVAN ASEN 22はここで有意義なパートナーシップを築きました。羽衣国際大学の100名の学生との活気溢れるミーティングで、私はファッションコレクションづくりのコンセプトについて、イルメナ・チチコヴァ氏は彼女自身のIVAN ASEN 22とのコラボレーションの実例や、デザイナーの作品、そしてそれらの作品を纏う彼女の化身についてプレゼンテーションを行いました。私達は、共通教育開発センター長を兼務される清水明男事務局長、学生をご紹介くださった被服学ご専門の光松佐和子教授、そして私達の講義を英語から日本語に訳してくださったドーン・スプリンガー氏より温かな歓迎を受けました。駐日ブルガリア大使公邸でのファッションショー開催時に、ブルガリア人デザイナーの作品とともにファッション衣装を披露した羽衣国際大学の日本人学生深見凛さんは、大学での質疑応答の場で、自らの刺激に満ちた体験について語ってくれました。
学生達からは素晴らしい反響を受け、教わった内容やブルガリアの文化やデザインについての質問にもそれが表れていました。学長室で開かれたレセプションでは、私とイルメナ氏は、こうしたノウハウの相互交換や、両国の文化の密接化を促す深化した友情への心からの感謝の気持ちをお伝えすることができました。
ミーティングの最後には、将来の協働プロジェクトで使用させていただけることになった大学の映画制作スタジオを案内していただきました。
私達のパートナー機関である羽衣国際大学は、近い将来私達との協働を継続し、来たる大阪での2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に関連した共同プロジェクトを始動することに強い関心を示してくださいました。